上映作品・近日上映作品

 

『旅と日々』 上映中

【三宅唱監督『ケイコ 目を澄ませて』最新作 ロカルノ国際映画祭 最高賞 受賞!】

『ケイコ 目を澄ませて』(22)、『夜明けのすべて』(24)などで映画賞を席巻し、現代日本映画界を牽引する三宅唱監督の最新作『旅と日々』。原作は、つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」。2020年フランスのアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞に輝いた稀代の漫画家の、初版から50年以上を経た2作を三宅監督が見事な手腕で現代的にアップデートした。そして、世界で最も歴史ある国際映画祭の一つであるロカルノ国際映画祭にて日本映画では18 年ぶりとなる金豹賞《グランプリ》に加え、ヤング審査員賞特別賞をW受賞。既にUS、フランス、韓国、中国、台湾、香港、インドネシア、ポルトガル、ギリシャでの配給も決定するなど、世界が最も注目している日本映画監督と言っても過言ではない。
主人公・李を演じるのは、『新聞記者』(19)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、韓国出身ながら日本映画界に不可欠な俳優シム・ウンギョン。共演に映画、テレビ、舞台と縦横無尽に活躍する堤真一、2024年の映画賞を多々受賞した河合優実、話題作への出演が続く髙田万作、さらに、つげ義春作品に欠かせない俳優・佐野史郎を加え、屈指の実力派俳優陣が集結した。

〈STORY〉
強い日差しが照りつける夏の海。海岸でぼんやりと過ごしていた夏男はどこか陰のある女・渚に出会う。何を語るでもなく、なんとなく島を散策する二人。翌日、浜辺で顔を合わせた二人は、台風が近づくなか雨に打たれながら、波打つ海で泳ぐのだった……。

海で出会った二人の姿が、大学の講義室のスクリーンに映し出されている。つげ義春の漫画「海辺の叙景」を原作に脚本家の李が脚本を書いた映画を、授業の一環で上映していたのだった。上映後、李は学生から映画の感想を問われ、「私には才能がないな、と思いました」と答える。講義を終えた廊下で、李は魚沼教授と立ち話をする。浮かない顔の李に「気晴らしに旅行にでも行くといいですよ」と飄々とした口調で声をかける教授。ほどなく、魚沼教授が急逝したという知らせが届く。李は弔問のため、教授の弟の家を訪れる。あっけない最期に戸惑う李に、弟は教授の形見のフィルムカメラを半ば押しつけるように手渡す。

長いトンネルを抜けると、そこには一面の銀世界が広がっていた。無計画のまま降り立った町で、宿も見つけられずにさまよううち、李はひとつの古びた宿にたどり着く。屋根には雪が積もり、今にも崩れそうなその宿を営むのは、ものぐさな主人・べん造。暖房もなく、まともな食事も出ず、布団すら自分で敷かなければならない。ある夜、べん造は「錦鯉のいる池を見に行くか」と李を夜の雪の原へと連れ出すのだった……。

出演:シム・ウンギョン、堤真一、河合優実、髙田万作、佐野史郎、斉藤陽一郎、松浦慎一郎、足立智充、梅舟惟永
監督・脚本:三宅唱
原作:つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
音楽:Hi’Spec

2025年/日本/89分/スタンダード
配給:ビターズ・エンド
© 2025『旅と日々』製作委員会

公式サイト


『ペンギン・レッスン』 上映中

【一羽のペンギンとの出会いが男の人生を変えた、感動の実話】

人生を変えてくれたのは1羽のペンギンだった。1970年代当時のアルゼンチンの悲惨な歴史背景下、分断された国家やその授業環境に教育への情熱を失いかけていた教師と重油にまみれた瀕死のペンギンとの偶然の出会い。その奇妙な同居生活と周囲の⼈々の暮らしを笑いたっぷりに描き、愛しくて思わず笑顔になってしまう本作は、世界中の映画祭で喝采を浴び、アメリカ、ヨーロッパでスマッシュヒットを記録。愛らしい1羽のペンギンに、世界中の人々が癒され、あたたかい感動が広がっている。

監督は笑いと涙で大ヒットを記録した『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ。主役を務めたのは、『ロスト・キング 500年越しの運命』などに出演する名優スティーヴ・クーガン。『あなたを抱きしめる日まで』でクーガンと共に脚本を担当したジェフ・ポープが本作の脚本も担当。クーガンと一緒に、人生を諦めかけていた英語教師トムの繊細なキャラクターを丁寧に作り上げた。さらに、『2人のローマ教皇』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたジョナサン・プライスが校長役を好演。もう一人の主人公、ペンギンのフアン・サルバドールは主に2羽のマゼランペンギンが担当した。

ユーモアと優しさ、そして再生への静かな希望があふれている本作は、実在の教師トム・ミッシェルが、自らの体験を綴った回顧録に基づいて描かれた。原作「人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日」(ハーパーコリンズ・ジャパン刊)は、世界22カ国で刊行されベストセラーとなっている。

〈STORY〉
1976年、軍事政権下のアルゼンチン。夢を見失い、人生に希望を見いだせずにいた英国人の英語教師・トムは、名門寄宿学校に赴任する。混乱する社会と手強い生徒たちに直面する中、旅先で出会った女性と共に、重油まみれの瀕死のペンギンを救うことに。女性にはふられ、残されたのはペンギンだけ。海に戻そうとしても不思議と彼の元に戻ってくる。こうして始まった奇妙な同居生活。「サルバトール」と名付けたそのペンギンと、不器用ながらも少しずつ心を通わせていき、本当に大切なもの ─人生の意味と、生きる喜び─ を取り戻していく。

出演:スティーヴ・クーガン、ヴィヴィアン・エル・ジャバー、ビョルン・グスタフソン、アルフォンシーナ・カロッチオ、デイヴィッド・エレロ、ジョナサン・プライス
監督:ピーター・カッタネオ
脚本:ジェフ・ポープ
原作:トム・ミッチェル「人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日」(ハーパーコリンズ・ジャパン)

2024年/スペイン・イギリス/112分/ビスタ
配給:ロングライド
© 2024 NOSTROMO PRODUCTION STUDIOS S.L; NOSTROMO PICTURES CANARIAS S.L; PENGUIN LESSONS, LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

公式サイト


『Ryuichi Sakamoto: Diaries』 上映中

【彼は命とどう向き合ったのか 日記で辿る、坂本龍一 最後の3年半】

2023年3月に、この世を去った稀代の音楽家・坂本龍一。その最後の日々は、自身の日記に克明に綴られていた──。ガンに罹患して亡くなるまでの3年半にわたる闘病生活とその中で行われた創作活動。目にしたもの、耳にした音を多様な形式で記録し続けた本人の「日記」を軸に、遺族の全面協力のもと提供された貴重なプライベート映像やポートレートをひとつに束ね、その軌跡を辿ったドキュメンタリー映画が完成した。

晩年の日記に綴られた、日々の何気ないつぶやきから、「死刑宣告だ」「どんな運命も受け入れる準備がある」という苦悩や葛藤、「残す音楽、残さない音楽」といった音楽を深く思考する数々の言葉。
また、雨の音、雲の流れ、月の満ち欠け──映像には、晩年の坂本が見つめ、魅せられた美しい自然の音や風景が収められ、時間を超えて観る者の心を揺らす。
日記の朗読を務めるのは、生前親交のあったダンサーで俳優としても活躍する田中泯。さらには共にYMOで活動し盟友だった高橋幸宏との知られざる交流や、最後の作品となった未発表曲の制作過程など、ニューヨークの自宅、治療のための東京の仮住まい、病室、そして最後のライブとなったスタジオで過ごした日々が日記をもとに紡がれる。
本作は、24年にNHKで放送され大きな反響を呼んだ「Last Days 坂本龍一 最期の日々」をベースに、未完成の音楽や映像など映画オリジナルとなる新たな要素を加えて制作。映画館ならではの音響と空間でこそ鑑賞すべき映画作品として誕生した。音楽家でありながら、アート・映像・文学など多様なメディアを横断し、多彩な表現活動を続けてきた坂本龍一。その軌跡を辿った展覧会「坂本龍一| 音を視る 時を聴く」は24年に東京都現代美術館で開催され、同館の企画展として歴代最高となる34万人を超える動員を記録し、社会的現象となった。今なお国も世代も超えて我々の心を掴み続ける坂本龍一は、命の終わりとどう向き合い、何を残そうとしたのか──。人生をかけて追い求めてきた「理想の音」を最後まで生み出そうと情熱を貫いた坂本の姿が、スクリーンに刻まれる。

出演:坂本龍一
朗読:田中泯
監督:大森健生

2025年/日本/96分/16:9
配給:ハピネットファントム・スタジオ、コムデシネマ・ジャポン
© “Ryuichi Sakamoto: Diaries” Film Partners

公式サイト


『万事快調〈オール・グリーンズ〉』 上映中

【南沙良 & 出口夏希 松本清張賞を満場一致で受賞の青春小説を映画化】

第28回松本清張賞を満場一致で受賞した波木銅によるユーモラスでオフ・ビートな文体が癖になる新時代の青春小説『万事快調〈オール・グリーンズ〉』(文春文庫)が、『猿楽町で会いましょう』の児山隆監督により満を持して映画化!
ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美(ぼく・ひでみ)役には南沙良、もう一人の主人公、陸上部のエースで社交的かつ、スクールカースト上位に属しながらも、家庭では問題を抱えている映画好きの矢口美流紅(やぐち・みるく)役には、出口夏希。さらに、朴秀美や美流紅と共に、同好会「オール・グリーンズ」を結成する岩隈真子(いわくま・まこ)役には吉田美月喜。さらに、羽村仁成、金子大地、黒崎煌代など今最も旬なキャストが集結。

音楽はヒップホップトリオDos Monosのフロントマンである荘子itが担当、主題歌はクリエイティブミクスチャーユニットNIKO NIKO TAN TANの書き下ろし楽曲「Stranger」が務め、映像と音楽で生まれた化学反応が映画に彩りを与えています。
第30回釜山国際映画祭Vision部門に加え、第38回東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門に公式出品となり、国内外から注目を集めている『万事快調〈オール・グリーンズ〉』。未来を選べない若者たちが、自らの手で未来を奪おうともがく、新たな時代の不適切な青春映画が幕を開けます!

〈STORY〉
ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美(南沙良)。
陸上部のエースで社交的かつ、スクールカースト上位に属しながらも、家庭では問題を抱えている映画好きの矢口美流紅(出口夏希)。
未来が見えない町で暮らすどん詰まりの日々の中、朴秀美が地元のラッパー佐藤(金子大地)の家で〇〇〇〇を手に入れる。その出来事をきっかけに、同級生で漫画に詳しい毒舌キャラ岩隈真子(吉田美月喜)、岩隈の後輩で漫画オタクの藤木漢(羽村仁成)らを仲間に引き入れ、同好会「オール・グリーンズ」を結成、〇〇〇〇の栽培に乗り出す。
人生を諦めるのはまだ早い!自分たちの夢をかなえるために、この町を出ていくには、一攫千金を狙うしかない!
そして、学校の屋上で、禁断の課外活動がはじまる     

出演:南沙良、出口夏希、吉田美月喜、羽村仁成、黒崎煌代、金子大地
監督・脚本・編集:児山隆
原作:波木銅「万事快調〈オール・グリーンズ〉」(文春文庫)

2026年/日本/119分/シネマスコープ/PG12
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2026「万事快調」製作委員会

公式サイト


『みらいのうた』 1月23日(金)より上映

【イエモン吉井和哉の3年間に高知出身のエリザベス宮地監督が密着】

1990年代に「JAM」「バラ色の日々」などのヒットで一世を風靡し、独自のグラマラスな世界観と詩的な歌詞で、今も多くの音楽ファンを、魅了する不屈のロックバンドTHE YELLOW MONKEY。そのボーカルとして、深く響く歌詞と圧倒的な存在感で世代を超えて愛されている吉井和哉
彼のミュージシャンとしての人生は、URGH POLICEのボーカルEROとの出会いから始まった。当時10代だった吉井は、ベーシストとして加入。しかし、バンドは自然消滅。その後、吉井はURGH POLICEを通じて出会った仲間達とTHE YELLOW MONKEYを結成。EROは静岡に残り、それぞれの音楽の道を歩みながらも、二人は交流を続けていた。
しかし2021年、EROが脳梗塞で倒れ、音楽活動どころか仕事もできなくなってしまう。吉井は、療養中だったEROのために「URGH POLICE時代の曲を、また一緒にやらないか?」と40年振りのセッションの約束をし、その様子を追ったドキュメンタリーの撮影を開始した。しかし、撮影開始から数ヶ月後、吉井が喉頭がんになっていることが発覚する−。それでも吉井は、制作作業を続け、試行錯誤の中、ある決断をする。そしてついに、スタッフ、ファンの祈りが集まった、東京ドームライブの”復活の日”を迎える。更にライブを終え約3か月後-吉井は、EROとの約束を果たしに、静岡に帰郷する。URGH POLICE以来、40年ぶりのセッションへ準備を進めていくのだった。

監督を務めるのは、エリザベス宮地監督。藤井風、backnumber、BiSH、優里など数々のミュージシャンのドキュメンタリー映像やMusicVideo、そして2024年には俳優・東出昌大の狩雅生活を1年間密着した映画『WILL』など様々な人生を撮り続けている。また同年、2日間で14万人を動員した藤井風の日産スタジアムライブに密着したドキュメント作品「Feelin’ Good (Documentary)」などが公開。本作でエリザベス宮地監督が捉える“吉井和哉”は、これまでの人生と音楽の結びつきが収められ、本作でしか観られない表情、想いが刻み込まれている。

撮影期間3年以上。吉井が、エリザベス宮地監督を最初に連れて行った場所は、生まれ故郷・静岡だった。幼い頃に亡くした父の思い出、母と幼少期のエピソードについて、今も続く旧友との交流–。本作は、“吉井和哉”を形作った人生と音楽のルーツを辿っていく。さらに、病を告知されてから、2024年東京ドームで復活ライブまでの裏側が克明に記録され、宮地監督だからこそ捉える葛藤、不安に向き合いながらも一歩ずつ前進していく姿が映し出されていく。
また本作は、2001年活動休止前の東京ドーム公演の「JAM」、2024年感動的な復活を避げた東京ドーム公演「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024″SHINE ON”」の「バラ色の日々」「悲しきASIAN BOY」など、熱いライブパフォーマンスも収められている。更に吉井が作詞・作曲・プロデュースを務め、THE YELLOW MONKEYのメンバーが演奏に参加したBiSHのラストシングル「Bye-Bye Show」制作過程や、彼女たちの東京ドーム解散公演、バックステージの様子。そして、早すぎる死に日本のロックファンが悲しみに暮れたチバユウスケという存在、絆についても語られる。『みらいのうた』は、知られざる名曲の裏側にあるこれまでの軌跡を辿ることで、音楽をさらに深く楽しめる一作になっている。

出演:吉井和哉、ERO
監督・撮影・編集:エリザベス宮地

2025年/日本/137分/16:9
配給:mur mur 配給協力:ティ・ジョイ
©2025「みらいのうた」製作委員会


『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』
1月30日(金)より上映

【あの『最強のふたり』を超え、フランスで年間No.1大ヒット!】

フランスで2024年年間興行収入No.1、1080万人動員(フランス国民の7人に1人)、公開から7週連続No.1、公開初日の動員数ではあの『最強のふたり』を大きく上回りフランス映画史上歴代2位—
驚異の記録を次々と打ち立て、フランスで《社会現象》となった大注目作が日本中をハッピーで包みこむ!

監督・脚本・主演を務めたのは、フランスで大人気のコメディアン・俳優であるアルテュス。共演は、ベテラン俳優のクロヴィス・コルニアックとアリス・ベライディ。障がい者施設の入所者たちを演じたのは、オーディションを通じて選ばれた、実際に障がいのある11人のアマチュア俳優たち。脚本は彼らに当て書きされ、11人の自然体で生き生きとした演技が、作品全体にあたたかな雰囲気をもたらしている。

泥棒の親子と入所者たちとの思わぬ出会いにくすっと笑い、何気ないやりとりにほっこりし、彼らに訪れるやさしい結末に胸がじんとあたたまる—
あなたを最高にハッピーにするハートウォーミングムービー!

〈STORY〉
宝石店に泥棒に入ったパウロとその父親。警察の追跡から逃げるふたりは、ひょんなことから障がい者とその介助者になりすまし、障がいのある若者たちのサマーキャンプに身を隠すことに。
とりどりの個性を持つ彼らとの笑顔にあふれたドタバタでにぎやかな日々は、やがてふたりの心をやさしく解きほぐしていく。
しかし、そんなゆかいな逃避行も長くは続かず……
やさしくあたたかな日々の果てに、宝石泥棒のパウロが見つけた“本当の宝物”とは――?

出演:アルテュス、クロヴィス・コルニアック、アリス・ベライディ、マルク・リゾ、セリーヌ・グルサール、アルノー・トゥパンス、マリ・コラン、テオフィル・ルロワ、ルドヴィク・ブール、ソフィアン・リブ、スタニスラス・カルモン、マヤヌ=サラ・エル・バズ、ボリス・ピトエフ、ギャッド・アベカシス、ティボー・コナン、バンジャマン・ヴァンドワル

監督:アルテュス
脚本:アルテュス、クレマン・マルシャン、ミラン・モージェ

2024年/フランス/100分/シネマスコープ
配給:東和ピクチャーズ
© 2024 CINE NOMINE – M6 FILMS – AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINEMA – SAME PLAYER– KABO FILMS – ECHO STUDIO – BNP PARIBAS PICTURES – IMPACT FILM

公式サイト


『ブルーボーイ事件』 1月30日(金)より上映

【性別適合手術が違法か合法かを争った実際の裁判から着想を得た物語】

1960年代後期、東京オリンピックや大阪万博で沸く、高度経済成長期の日本。国際化に向け売春の取り締まりを強化する中、性別適合手術[*当時の呼称は性転換手術]を受けた通称ブルーボーイたちを一掃し街を浄化するため、検察は手術を行った医師を逮捕。手術の違法性を問う裁判には、実際に手術を受けた証人たちが出廷した。
かつて実際に起きた“ブルーボーイ事件”に衝撃を受け、映画化を決意したのは、『僕らの未来』(11)、『フタリノセカイ』(22)、『世界は僕らに気づかない』(23)など、独創的な作品作りで国内外から大きな注目を集める期待の若手、飯塚花笑監督。当時の社会状況と事件について徹底的に調査し、裁判での証言を決意したトランスジェンダー女性サチを主人公に物語を構想した。「この物語を描くには当事者によるキャスティングが絶対に必要」という監督の強い意志のもと、主人公サチ役の起用にあたっては、様々な経歴を持つトランスジェンダー女性たちを集めたオーディションが行われ、多くの候補者の中から主演に選ばれたのは、ドキュメンタリー映画『女になる』(17)への出演経験を持つ中川未悠。演技経験はないものの、自らの経験をもとにサチ役に見事に同化していく姿に感銘を受けた監督たちによる大抜擢となった。裁判の証人となるサチのかつての同僚たちを演じるのは、映画初出演となるドラァグクイーンのイズミ・セクシーと、連続テレビ小説『虎に翼』での演技が反響を呼んだ中村中。サチに証言を依頼する弁護士の狩野役を錦戸亮が、彼と敵対する検事役を安井順平が演じる他、前原滉や山中崇ら、メインキャストを支えるため実力派俳優たちが勢揃い。
今以上に性的マイノリティの人々に対する激しい差別が横行していた 1960 年代の日本で、自らの尊厳と誇りをかけて司法と、そして世間と闘った女性たち。彼女たちの声と真摯に向き合いながら、見事な演出力で社会派エンターテインメントとして纏め上げた『ブルーボーイ事件』は、いまだ差別や偏見がはびこる現代社会にこそ見るべき映画であり、私たちに熱い感動を届けてくれる。

〈STORY〉
1965年、オリンピック景気に沸く東京で、街の浄化を目指す警察は、街に立つセックスワーカーたちを厳しく取り締まっていた。ただし、ブルーボーイと呼ばれる、性別適合手術(*当時の呼称は性転換手術)を受け、身体の特徴を女性的に変えた者たちの存在が警察の頭を悩ませていた。戸籍は男性のまま、女性として売春をする彼女たちは、現行の売春防止法では摘発対象にはならない。そこで彼らが目をつけたのが性別適合手術だった。警察は、生殖を不能にする手術は「優生保護法」(*現在は母体保護法に改正)に違反するとして、ブルーボーイたちに手術を行っていた医師の赤城(山中崇)を逮捕し、裁判にかける。同じ頃、東京の喫茶店で働く女性サチ(中川未悠)は、恋人の若村(前原滉)からプロポーズを受け、幸せを噛み締めていた。そんなある日、弁護士の狩野(錦戸亮)がサチのもとを訪れる。実はサチは、赤城のもとで性別適合手術を行った患者のひとり。赤城の弁護を引き受けた狩野は、証人としてサチに出廷してほしいと依頼する。

出演:中川未悠、前原滉、中村中、イズミ・セクシー、真田怜臣、六川裕史、泰平、渋川清彦、井上肇、安藤聖、岩谷健司、梅沢昌代、山中崇、安井順平、錦戸亮
監督:飯塚花笑
脚本:三浦毎生、加藤結子、飯塚花笑

2025年/日本/106分/ビスタ
配給:日活/KDDI
© 2025 『ブルーボーイ事件』 製作委員会

公式サイト


『たしかにあった幻』 2月6日(金)より上映

【河瀨直美 監督『あん』『光』『朝が来る』最新作!】

“愛のかたち”と“命のつながり”をモチーフにして、失踪と心臓移植の現実を重ねて描く、時を超えて運命が交差する珠玉の人間ドラマ

人は亡くなったら、どこへいくのだろう―
生きた証、その鼓動と記憶を、 つないでいく
目をつむると、いつも胸の中に

河瀨直美監督にとってオリジナル脚本としては8年ぶりの最新作『たしかにあった幻』の物語を支えるテーマの二つ。一つは、先進国の中でドナー数が最下位という日本の臓器移植医療について。もう一つは年間約8万人にのぼる日本の行方不明者問題だ。河瀨監督は『あん』(15)で差別と偏見の果てに生きる歓びを人々に与えたハンセン病患者の生き様、『光』(17)で失われゆく視力に翻弄される人生の中で気づかされた新たな愛を獲得したカメラマンの人生、『朝が来る』(00)では特別養子縁組で救われた命の尊さと二人の母の絆など、旧来の常識や血縁とは異なる、他者との関係性の中に存在する「愛」を描いてきた。「死」が終わりではないという気づきの先に、移植医療が人の命を繋いでゆき、「生」の意味を問いかける本作は、第78回ロカルノ国際映画祭でのワールドプレミア上映にて、河瀨監督のマスターピース(傑作)と評された。

〈STORY〉
フランスから来日したコリーは、神戸の臓器移植医療センターで働きながら、小児移植医療の促進に取り組んでいたが、西欧とは異なる日本の死生観や倫理観の壁は思った以上に厚く、医療現場の体制の改善や意識改革は困難でもどかしい思いを抱えていた。
そんなコリーの心の支えは、屋久島で運命的に出会った恋人の迅だったが、彼の誕生日でもある7月7日の七夕に突然、姿を消してしまう。
一年後、迅が失踪するはるか前に彼の家族からも捜索願が出されていたことを知ったコリーは、迅の実家である岐阜へと向かう。そこで明かされた事実から迅との出逢いが宿命的だったことがわかり驚愕とするコリー。
一方、心臓疾患を抱えながら入院していた少女・瞳の病状が急変するが…。

出演:ヴィッキー・クリープス、寛一郎、尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏
監督・脚本・編集:河瀨直美

2025年/フランス、日本、ベルギー、ルクセンブルク/115分/ビスタ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025

公式サイト


『チャップリン』 近日順次上映

【チャーリー・チャップリンの原点に迫る親族初公認ドキュメンタリー】

ドタバタ喜劇に庶民の哀愁や社会風刺を巧みに組み込んだユーモア溢れる作品を多く生み出し、世界中の人々を魅了してきたチャーリー・チャップリン。ちょび髭にだぶだぶのズボンと大きなドタ靴、ステッキと山高帽がトレードマークの“放浪紳士”に扮し、笑いの中にさみしさや孤独を抱え、社会のなかで弱い立場の人に寄り添う心優しいキャラクターで愛されてきた。そんな放浪紳士に垣間見えるのは、ロマのアイデンティティ。本作では、チャップリンがロマの血を1/8引き、そのことを誇りに思っていたことが明かされる。極貧の少年時代からアメリカを追放されスイスで過ごした晩年まで、映画の神様チャップリンのルーツに迫る新たな視点の物語。

チャップリンに関する作品や映像は数多く作られてきたが、本作はチャップリン家が全面的に協力し公認した唯一のドキュメンタリー。製作を担当し、劇中でチャップリンの足跡を辿るのは息子マイケル・チャップリン。父の名声と親の七光りという重圧に苦しんだマイケルが父子断絶を経て、その関係を見つめ直す。『ドクトル・ジバゴ』(65)などで知られる俳優で娘のジェラルディン・チャップリンらも出演し、家族だけが知る素顔を語る。本作の監督を務めるのも、孫カルメン・チャップリン。世界的な人気者でありながら、一人の人間で父親だったチャップリンを綴る。

さらに、ジョニー・デップやエミール・クストリッツァら、チャップリンを敬愛する各界の著名人も登場。『キッド』(1921)、『街の灯』(31)、『独裁者』(40)、『ライムライト』(52)など名作の引用に加えて、本邦初公開となる家族が撮影したプライベートフィルムや貴重な記録映像を交えながら、作品に投影されるチャップリンの幼少期の記憶やユダヤ人・共産主義者のレッテル、そして放浪紳士に通じるロマの特徴や文化までをも掘り下げる。

出演:マイケル・チャップリン、ジェラルディン・チャップリン、ジョニー・デップ、トニー・ガトリフ、エミール・クストリッツァ、ストーケロ・ローゼンバーグ、リタ・カベルト、ファルキート
監督・脚本:カルメン・チャップリン

2024年/スペイン・ベネルクス・イギリス・フランス/94分/ビスタ
配給:アンプラグド
© The Caravan Trail, A.I.E, Kwanon Films Limited, and Submarine Sublime 2024 | Charlie Chaplin™ © Bubbles Incorporated SA

公式サイト

 

『チャップリン』公開記念
チャールズ・チャップリン 監督作セレクション 日替わり上映予定

上映作品や上映時間等の詳細は近日発表いたします。


『安楽死特区』 近日順次上映

【監督 高橋伴明 × 主演 毎熊克哉「桐島です」タッグ最新作!】

在宅医として2500人以上の看取りを経験してきた医師で作家の長尾和宏による同名小説が原作の映画『安楽死特区』は、近未来の日本で「安楽死法案」が可決され、国家主導で導入された制度のもと、人間の尊厳、生と死、そして愛を問う衝撃の社会派ドラマである。

監督は、『痛くない死に方』(2020)、『夜明けまでバス停で』(2022)、『「桐島です」』(2025)などの高橋伴明。脚本は、『野獣死すべし』(1980)、『一度も撃ってません』(2020)などの丸山昇一。名匠の初タッグが本作でようやく叶った。

舞台は今から数年後の日本。欧米に倣って安楽死法案が可決した。それでも反対の声が多いため、国は実験的に「安楽死特区」を設置することに。主人公のカップルは、回復の見込みがない難病を患い、余命半年と宣告されたラッパー・酒匂章太郎と、彼のパートナーでジャーナリストの藤岡歩。安楽死法に反対のふたりは、特区の実態を内部から告発することを目的に、国家戦略特区「安楽死特区」への入居を決意する。そこでふたりが見たものは、安楽死を決意した人間たちの愛と苦悩。医師たちとの対話を通じ、ふたりの心に微細な変化が訪れるが……。

章太郎役を務めるのは、『「桐島です」』(2025)の毎熊克哉。パートナー・歩役には『夜明けまでバス停で』の大西礼芳。特区の実態を告発するために突き進む歩が、章太郎の心境の変化に直面する様は、観る者の心を激しく揺さぶる。
末期がんに苦しむ夫と、夫と心がすれ違う妻を演じたのは、平田満と筒井真理子、認知症と診断され、死なせて欲しいと願う元漫才師役で余貴美子が出演。そして、「安楽死特区」の特命医を演じるのは、加藤雅也、板谷由夏、下元史朗、奥田瑛二。歌謡漫才のコンビであり余貴美子の妹役で友近、尾形の元妻役で鈴木砂羽が出演。また、シンガーソングライターのgb(ジービー)が毎熊克哉とラップを披露する。

人生の最期を自ら決断しようとする者と、国から命じられ苦悩しながらも安楽死に導く医師、それを見守る者―― 一体、死とは誰のものなのか? 制度と人間、理想と現実の狭間で揺れ動く人々の姿を描き、見る者一人ひとりに、重い問いを投げかける。明日、この国で現実に起こるかもしれない世界線を描いた衝撃作。

〈STORY〉
もしも日本で「安楽死法案」が可決されたら――。国会で「安楽死法案」が可決され、国家戦略特区として「ヒトリシズカ」と名づけられた施設が誕生。安楽死を希望する者が入居し、ケアを受けられるこの施設は、倫理と政治の最前線で物議を醸す存在となっていた。

回復の見込みがない難病を患うラッパー・酒匂章太郎(毎熊克哉)は、進行する病に苦しみながらも、ヒップホップに救いを見出し、言葉を紡ぎ続けていた。共に暮らすのは、チベットで出会ったジャーナリスト・藤岡歩(大西礼芳)。二人は、章太郎が余命半年を宣告された今も、安楽死に反対で、特区の実態を内部から告発することを目的に、「ヒトリシズカ」に入居する。
施設には、末期がんに苦しむ池田(平田満)とその妻の玉美(筒井真理子)、認知症を抱え、完全に呆けないうちに死なせて欲しいと願う元漫才師の真矢(余貴美子)など、それぞれに事情を抱えた入居者たちが暮らしていた。
章太郎の身体は急速に衰え、言葉さえままならなくなり、章太郎は歩に相談もなく、「安楽死を望みます」と考えを一変。歩は、池田の主治医の鳥居(奥田瑛二)の他、章太郎の主治医の尾形(加藤雅也)、三浦(板谷由夏)ら特命医それぞれの想いにも触れ、命と死に真摯に向き合うことを迫られる。

出演:毎熊克哉、大西礼芳、加藤雅也、筒井真理子、板谷由夏、下元史朗、友近、g b、田島令子、鈴木砂羽、平田満、余貴美子、奥田瑛二

監督:高橋伴明
脚本:丸山昇一
原作:長尾和宏 「安楽死特区」(ブックマン社刊)

2025年/日本/129分
配給:渋谷プロダクション
©「安楽死特区」製作委員会

公式サイト


『センチメンタル・バリュー』 近日順次上映

【カンヌ国際映画祭 グランプリ受賞!ヨアキム・トリアー監督最新作】

2025年、第78回カンヌ国際映画祭で本映画祭最長19分間に及ぶ圧巻のスタンディングオベーションで会場を沸かせ、最大の熱狂を巻き起こし、堂々のグランプリ受賞。本年度アカデミー賞®フロントランナーとの呼び声も高い話題作がついに公開される。本作を手がけたのは、第94回アカデミー賞®で脚本賞・国際長編映画賞の2部門にノミネートされ、日本でも大ヒットを記録した『わたしは最悪。』のヨアキム・トリアー。同作で恋愛と人生の選択をリアルに、共感たっぷりに描いた監督が次なるテーマに選んだのは──愛憎入り混じる「親子」という名のしがらみ。
主演には再びレナーテ・レインスヴェを迎え、映画監督の父親役には名優ステラン・スカルスガルド、さらに本作の演技で脚光を浴びるインガ・イブスドッテル・リッレオースに加え、ハリウッドからエル・ファニングも参加。複雑かつ緊張感に満ちた人間模様を浮かび上がらせる。
あまりに不器用でこじれた父娘に共感し、たどり着く結末に世界が唸った家族ドラマの到達点。きっとあなたの“代えがたい”1本になる。

〈STORY〉
オスロで俳優として活躍するノーラと、家庭を選び息子と夫と穏やかに暮らす妹アグネス。そこへ幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不通だった映画監督の父・グスタヴが現れる。自身15年ぶりの復帰作となる新作映画の主演をノーラに依頼するためだった。怒りと失望をいまだ抱えるノーラは、その申し出をきっぱりと拒絶する。ほどなくして、代役にはアメリカの人気若手スター、レイチェルが抜擢。さらに撮影場所がかつて家族で暮らしていた思い出の実家であることを知り、ノーラの心に再び抑えきれない感情が芽生えていく──。

出演:レナーテ・レインスヴェ、ステラン・スカルスガルド、インガ・イブスドッテル・リッレオース、エル・ファニング
監督:ヨアキム・トリアー
脚本:ヨアキム・トリアー、エスキル・フォクト

2025年/ノルウェー/133分/ビスタ
配給:ギャガ NOROSHI A GAGA LABEL
© 2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS /  ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM /  BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST  / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE

公式サイト

 

Copyright © 2022 KINEMA M . All Rights Reserved.
PAGETOP